韓国発のミュージカル。何をやってもついておらず、とうとう会社をクビになり、初恋の相手を探す会社を立ち上げた青年と、そこにやってきた初恋を忘れられない女性のラブ・ストーリー。出演キャストは3人のみ、“マルチマン”と呼ばれるキャストが複数の役柄を演じ分けていくシステムは本作が走りといわれている。本国では創作ロマンチックコメディの金字塔と言われ、長年ロングランが続いた小劇場ミュージカルの大傑作。atlas主催の日本版は2016、2017、2018年と三たび上演されている。初演時、駒田一の24役のマルチマンが話題となった。
《上演記録》
■2016年※タイトルは「キム・ジョンウク探し」
6/12~26 よみうり大手町ホール
6/29~30 サンケイホールブリーゼ
小林香によるオリジナルミュージカル。自閉症スペクトラムなどの障害がある一方で、記憶や芸術面などで突出した才能を持つサヴァン症候群の青年と、その家族や友人など青年を取り巻く人々との物語。日々の生活の中での悩みや葛藤、様々な思いを抱きながらも前を向いて生きる5人の登場人物が紡ぐ等身大の物語は、さわやかな感動を呼び好評を得た。堀倉彰による美しい音楽も評判に。
《上演記録》
■2018年
5/23〜30 博品館劇場
6/9〜10 サンケイホールブリーゼ
青年ふたりによる令嬢誘拐劇からはじまる物語は、一見サスペンスのようでありながら、芸術家の“業”や、苦しみの中でも希望をもって生きていく人間の姿などをあぶりだしていく、文学的抒情性に満ちたミュージカル。20世紀初頭に生きた韓国の天才詩人、李箱(イ・サン)の遺した詩という、我々日本人にはとっつきにくいモチーフを扱いながらも、扇状的な音楽も相まって「愛煙家」と呼ばれる中毒者が続出、熱狂的に受け入れられた、atlas制作ミュージカルの代表格である。特に浅草九劇での、客席が四方を囲んだスタイルでの上演は緊密な劇場空間と作品の特性が見事に調和し、評判が高い。「絶望」「翼」など印象的な名曲も多数
《上演記録》
■2018年
10/4~28 浅草九劇
天動説が信じられている時代に地動説を唱えた偉大な科学者ガリレオ・ガリレイと、今なお生み出した作品が世界中で上演され続けている偉大な劇作家ウィリアム・シェイクスピア。この同じ1564年生まれの偉人ふたりが、もし天国で出会ったら……? 奇想天外な発想から生まれたふたり芝居ミュージカル。ロードムービー風の、人情味ある物語は楽しくもほろ苦い。個性豊かな俳優ふたりが100分間出ずっぱりで歌い踊るノンストップミュージカル。
《上演記録》
■2019年
2/14~3/17 浅草九劇※9月にはコンサート版も上演
実在したスパイ、シュヴァリエ・デオンを主人公に、虚実織り交ぜ作り上げるオリジナルミュージカル。生涯の前半を男性として、後半を女性として生きたと言われている謎めいたこの人物を、男装も女装も麗しく、水夏希が見事に演じた。荻田浩一らしい絢爛豪華な歴史絵巻が、少数精鋭の実力派俳優たちで上演される贅沢な舞台が浅草九劇の小空間で観られるとあって連日大入りの賑わいとなった。斉藤恒芳による遊び心あふれるオリジナル楽曲もみどころ・聴きどころ。
《上演記録》
■2019年
9/12~23 浅草九劇
作家志望の男が、隣人の書いた小説を盗んで発表したことからはじまるミステリー・スリラー。虚と実が入り混じる内容は、「混乱系ミュージカル」。謎が謎を呼び、SNSではお客様による謎解き合戦も。リピーターも多く生んだ。上口耕平、池田有希子、内藤大希、新納慎也ら出演の通常公演に加え、若手育成を目的とした〈エンカレッジメンバー〉での上演も話題に。
《上演記録》
■2019年
10/18~27 博品館劇場
『SMOKE』を生み出した韓国の気鋭の作家コンビ、チュ・ジョンファ(作演出)&ホ・スヒョン(音楽)が手掛ける作品の日本初演。ドストエフスキーの名作『カラマーゾフの兄弟』をベースに舞台を1990年後半のアメリカ西部に移し変え、強欲な富豪・ジョンが殺害された事件の真相をたどっていくミステリー仕立てのストーリー。コロナ禍の自粛期間を経て、演劇作品の中では初期の劇場再開作品でもあり、感染予防策を組み込み逆手にとった演出も話題になった。いまだ先行きの不透明な演劇界だが、カンパニーだけでなく観客含め上演に向けての熱い思いが集結した一作。やはり扇情的なテーマ曲「BLUE RAIN」など楽曲にも注目。
《上演記録》
■2020年
7/2~12 博品館劇場
7/22 シアタードラマシティ